家族だからって、分かり合えるとは限らない。母娘の確執が根底にある「トクサツガガガ」

トクサツガガガ1巻

自分の好きなものを理解されない辛さ

家が「世界で一番の安心できる場所」だったら、そりゃそれに越したことはない。
そして家族が「世界で一番の自分の理解者」だったら、それもそれに越したことはない。

だけど何の因果か、そうとも限らない場合も世の中に多々あります。

自分の好きなものを、世間が認めてくれないのはまだしも、親が認めてくれなかったら、これはなかなかの地獄。

トクサツガガガ1巻

今回ご紹介する漫画「トクサツガガガ」は、世間を忍ぶ特撮オタクのOL「仲村さん」が主人公。

仲村さんはいい歳をした社会人(26)ですが、ゆっくり眠れるはずの日曜の朝は「◯◯レンジャー」などの特撮を観るために早起き。
子どもの頃に買えなかったこと&ひとり暮らしの自由による反動か、◯◯ロボのおもちゃや、カプセルトイ、特撮のDVDやブルーレイなどを買い集め愛でる日々。

2000年代のオタクらしく、場をわきまえる(?)仲村さんは
会社を始めとした公の場では、自分のオタク気質を隠してひっそりオタクライフを楽しんでます。

ひっそり生息していても、ついつい類友オーラを発しているのか、いつの間にか社内外にオタク友達が増えている仲村さん。

オタクならではの「自分の好きなものを理解されない辛さ」を存分に味わっているせいか、仲村さんはどんな境遇の人に対しても公平で、相手の立場や心情に対する思いやりがあるんですよね。
なので「オタク/非オタク」問わず、周りと協調していい関係が築けている様子。

そう、たったひとり「実の母親」を除いては…

一番身近な家族に否定されること

仲村さんのお母さんは、シングルマザー。
元々苦労知らずのお嬢さんだった女性ですが、仲村さんが3才のときに離婚しました。

離婚後、自分の好きなことをガマンして仕事をし、女手ひとつで子ども二人を育てた苦労を経験しているせいか
娘には「かわいいもの」を与え、「女性らしく存在する」ことを絶対いいこととして疑わない女性として描かれています。

仲村さんは、子どもの頃「ランドセルは黒がいい」「小学校に上がっても特撮が好き」
という嗜好だったのですが、そんなお母さんに

「女の子なんだから」
「いい年してそんなものが好きなんて」

と否定されまくって育った影響で、自分が好きなものを好きだと周囲に打ち明けること自体、恐怖心を抱くように。

この関係性は「凪のお暇」という漫画にも登場する母娘ととてもよく似ているのですが
オタクあるあるライフを描いているように見えて

本来の自分を理解してもらえないことの辛さ

そして「価値観が違っていても似ていても、なかなか上手くいかないコミュニケーションをどう乗り越えていくか」ということが根底にあるテーマである気がします。

仲村さんのお母さんは、それこそ特撮もののラスボス的に、時々登場しますが
基本的にはオタクあるあるの日常が丁寧に描かれていますので、私みたいなこっそり隠れオタクの大人には(隠しきれてなかったり、隠す気もあんまりなくなってきたけど(;^_^A)
「うわー!わかる!!」と共感できる描写の多い漫画です。

そんな「トクサツガガガ」気がついたら14巻まで出てました!
そして来年、2019年1月からなんとドラマ化!!(NHK総合だって)

母娘との確執にお悩みの方にもなかなかにおススメです。


トクサツガガガ 1〜14巻(2018年11月現在連載中)
丹羽 庭/小学館ビッグスピリッツコミックス

こちらから試し読みもできます

https://www.shogakukan.co.jp/books/09186606