天文+アンティーク+印刷好きにはたまらない!印刷博物館「天文学と印刷」展へ。

天文学と印刷フライヤー合体

私は気が多いので、興味の幅が広いのですが
これほど「絶対行かんとアカン」という展覧会があるでしょうか。

それは印刷博物館で開催された「天文学と印刷」展!!
(会期は2018年10月20日(土)~2019年1月20日(日))

天文&アンティーク&印刷(特に活版)好きの私が行かないで、一体誰が行くんじゃい。

会期ギリギリに弾丸で東京へ。
印刷博物館は〈トッパン小石川ビル〉という高層ビル内の1階&地下1階にあります。

トッパン小石川ビル

青くて、ひときわ高いビル。「TOPPAN」の字が目印。
凸版印刷株式会社のイチ施設という感じなんでしょうか。すんごいビル内に入って行くので、ちょっと緊張します(;^_^A)

印刷博物館入口

入口のモニュメント。

天文学と印刷フライヤー

会場内は写真NGだったので、フライヤーの写真で。
フライヤーの印刷もすごく豪華!全面に黒の印刷、そして金の箔押し。

天文学と印刷フライヤー合体

実はこのフライヤー、8種類あるようで
全部繋げるとタイトルが浮かぶ仕組み。

伺った日は、下半分の「天文学」部分の4種類が配付中でした。
(すいません、あまりに美しすぎて4種類全部もらって帰りました…)

天動説から地動説(太陽中心説)への転換が起こるきっかけとなった『天球の回転について』。
著者であるコペルニクスの名は知られている一方、本書の印刷者を知る人は少ないのかもしれません。
15世紀のヨーロッパに登場した活版および図版印刷は、新たな世界像を再構築していく上で大きな役割を果たしました。
学者と印刷者は共同で出版を行うのみならず、学者の中には自ら印刷工房を主宰した人物も存在します。
本展では学問の発展に果たした印刷者の活躍を、天文学を中心に紹介します。
(HPより引用)

無学で全く知らなかったのですが、15世紀のヨーロッパでは「学者 兼 印刷職人」という方が多かったようです。

どういうダブルキャリアなんだ…

ひとつの建物のなかで、夜は最上階から星空の観測。
昼間はせっせと下階で印刷してたという人もいて、現代のユーチューバーか!というツッコミをTwitterで見かけたのは、言い得て妙でした。

ローマ帝国のユーチューバーアルブレヒト・デューラーデューラーハウスの内部構造が分かる展示も、3D画像を閲覧者が操作して、室内をぐるぐる見られる仕掛けが面白かった。

天文学と印刷の資料

会場内の説明用資料も『元々濃い色の紙に、銀色のインクで印刷』と、ニクい印刷。

自分の研究した内容を、自分で印刷して、世に広める。
印刷技術が発達する以前は、いくらいい学説を考えても、広める手段が限られていたでしょうから
『この考え方を、世間に広めたい!』
という気持ちが、学者達は強かったのかなあ。

印刷の最終完成版だけでなく「あれ?これテストプリントして、手描きで赤入れたのかな?」という過程の印刷も展示されていて
古今東西、人間は誤植を怖れていたのだろうか… と、ちょっとニヤッとしてみたり。

ヨーロッパはもちろん、中国から日本に広がって行った天文学の歴史を、印刷物を通じて見ることができて、なかなか満足度が高かったです。

ミュージアムショップにて、図録をお買い上げ。

天文学と印刷の図録カバーのアップ

こちらはカバーが付いています。

天文学と印刷の図録カバーのアップ

うっすらと薄めのインクで刷られている部分、分かるでしょうか。
光に当てると、キラキラと綺麗で見とれます…

天文学と印刷の図録表紙並べて

黒い方が図録本体。もちろんこれらの印刷は凸版印刷さん。
何かもう「俺らが印刷の本気見せてやるぜ!」という底力を感じますね。
昨今の出版では、ほぼほぼ見かけることのないメッチャ贅沢な作りです。

天文学と印刷の図録表紙アップ

綴じ方も独特。確かこちらの展示でナントカっていう名前で紹介されていたんですが…
本の背に何本か筋を入れて、そこに紐を接着して補強するスタイル。(ただ糊で接着するより強度が増すのだそう)
通常はここに背表紙をくっつけて隠すところを、あえて見せているところが面白い。

世界のブックデザインフライヤー

ミュージアムショップお隣で開催されていた「世界のブックデザイン2017-18」にも立ち寄りましたが、こちらもよかった!
文字通り、世界から集められた優れたブックデザインの本達を、直接手に取って見ることができます。

こちらは2019年3月31日(日)までで、入場料は無料。

個人的に中国の本が好きでした。
なかなか中国の本って見る機会もないし、何となくのイメージで印刷の質があまりよくないのかなとレッテルを貼ってましたが、印刷自体の質もいいし、デザインはシンプルで洗練されているものが多かったです。

併設の、活版印刷体験ができる「印刷の家」は、時間が合わず、この日はガラス越しに眺めて終了。
チャンスがあったら、次は入りたい…

活版印刷機がアンティークな機械好きにはたまらない造形で、めちゃくちゃカッコ良かった!
絶対その装飾、機能的にはいらないよね!っていう箇所があるのですが、そこがまたいい!

印刷博物館、企画展示だけでなく
いつもある〈総合展示ゾーン〉〈プロローグ展示ゾーン〉も、人間の印刷の歴史がかなり分かりやすく紹介されていて、こちらもまた行きたくなる〜!印刷技術の紹介あたりは小学生でも楽しそう。

東京もそうそう行かないので「ついでにあそこ行こうかな」みたいなアタリは付けていたのですが、何とこちらの展示でかなり満足してしまい、この後、神楽坂をぶらぶらして、東京駅に戻って終わりにしました。

展覧会の数も質も、やっぱり都心には敵わないなあと思いつつ、これからはこういう吸収もしていこうと感じる一日でした。