Web発信の時代に知っておきたい「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本」

クリエイターのための権利の本:表紙

グラフィックデザインやイラストの仕事に携わっていると、切っても切り離せないのが「著作権」問題。

自分の権利はもちろん、他の人の権利も守るために
最低限の知識は持っていないとなあと、少しずつ情報を更新しています。

という訳で、2018年に出版された「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本」をこちらをご紹介します。

クリエイターとしてだけでなく、Webで発信するときに知っておきたい情報も知ることができましたので「クリエイターじゃないから関係ないよーん」なんて方もぜひぜひ。

実際に現場で働いている人が書いているから分かりやすい!

「著作権」というと、お堅くて難しいイメージ… ないですか?
特に著作権は「権利の束」と呼ばれていて、複数の権利を一括で呼んだ名称。
ひとつひとつに説明があったとしても、抽象的な文章だと頭に入って来ない…(;^_^A

その点こちらの本では、現役クリエイターさんが共同執筆、Q&A形式で書かれていて、実際のイメージがしやすい具体的な事例紹介がされているのが特徴。

ちなみに、この本を書かれたクリエイターさんの業種としては

  • イラストレーター
  • ウェブデザイナー
  • ブロガー
  • プログラマー

など。Web系に強い印象です。

クリエイティブな仕事に就いている人が、著作権侵害疑惑を持たれたことで、社会からの信頼が大幅ダウン。
なんてこともWeb発信が盛んな時代になったからこそ。
画像検索を使えば、類似画像も簡単に見つけられますからね(;^_^A

そんな訳で
写真を撮って記事を書いたり、本の書評を書かれているブロガーさん
にも役立つ内容が多いです。

Webで発信している人は必読!?

「クリエイターのための」と書かれているので、あんまり関係ないなーと思われる人も多そうですが

誰でもSNSで発信できる時代になったことから「営利目的ではなく私的目的なんで〜」なんて言い訳ができないことも、しっかり書かれています。
私も勘違いしていましたが、仕事ではなくプライベートで発信していても、誰もが見られるところに情報を公開することは私的ではなく「公的なこと」なんですね。

ツイッターで芸能人の写真をプロフィールアイコンにすることや、イベントに行ったときに自分以外の顔が移った写真をインスタにアップしたり…

意外とやっちゃってるけど、これって大丈夫なのかな?
という疑問に答えてくれるこの本。

CHAPTER2【写真・イラスト・デザイン】
CHAPTER3【文章・コピー】に書かれている

「街並みなどで無関係の人が写り込んだ写真は使えないの?」
「Googleマップは自由に利用できる?」
「社内資料ならネット上の画像を使用してもいいの?」

この辺りの内容は、広報に関わるような方なら知っておきたい情報。
自分自身で発信する必要がある個人事業主さんも同様です。

もし自分の著作権が侵害されていたら?それを防ぐには?

クリエイターとしては、ここからの知識も重要になってきます。

CHAPTER5【契約・権利の所在】
CHAPTER6【トラブル発生時の対処】では

「納品した成果物の著作権はクライアントのもの?」
「納品したデザインが勝手に改変されて使われていた」
「著作権侵害を発見した場合はどうすべき?」


著作権は特別な届け出は必要なく、基本的には著作者のもの
ですが、クライアントとしっかり契約を交わしておくことでトラブルが未然に防げることが多いそう。

契約がない場合は、口約束や双方がどういう認識だったかで判断されるようで、この辺がなあなあになりがちな私は耳が痛い内容でした(;^_^A
巻末には契約書のサンプルもあるので、契約書が必要な場合の参考になります!

契約書を作ったらクライアントにいい顔をされなかった… という話も下請けならよくある話で、そういった場合はこうしておくといいよという紹介もあり、ホッとしました。

クライアントも単に知らなかっただけというケースも多いので、クリエイターとしては伝えることを事前に伝えておくことで、防げることが多いと感じました。

また、これは自分だけで対処するのは難しいと感じたら、専門家に相談することも大事。

「専門家に相談しよう」

こちらの項目で詳しく丁寧に触れられています。

そもそも著作権は何のためにある?

ここまでは事例ごとに紹介されていましたが
CHAPTER7【デジタルにおける著作権の考え方】では、そもそも著作権とはどういうものなのかが書かれています。

「著作権」=文化の発展に寄与する一定の情報の利用をある程度コントロールする権利
___190Pより引用

本を買うことで、利用者は本をモノとして所有することはできても、それをWebで全ページ写真に撮影して誰でも見れるように公開してしまう(情報をコントロールしてしまう)ことはNGです。
なぜなら、本を作った人や流通させている人達に多大な被害が出てしまうから。

だからといって、あまりにも情報をコントロールしすぎてしまうと、利用者にとっては不利益が生じることも。

著作権法は「著作者と利用者」双方にバランスよく利益があるよう作られている。

著作権というと、ちょっとした領地争いのようなイメージがあったのですが

どちらかが権利を振りかざすのではなく、どちらにとっても利益があるように、そして社会として文化的な発展があることを目指して作られた法律だと知って、何だかちょっと安心しました。

そもそも創作物って、誰かに楽しんでもらいたくて、喜んでもらいたくて作られたものだと思うのです。

私自身、エンターテイメントとして漫画や映画、音楽を楽しむことももちろんありますから、創作した方達に不利益が生じて、そのことで創作が続けられなくなってしまったら、とても残念です…

誰もがWeb発信を気軽にできるようになった時代。

だからこそ、知らなかったからと誰かの権利を踏みにじらないように。
まだまだ私も不勉強で至らないことが多いのですが、こういった知識を得ることを怠らないようにしたいと思います。


「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本」
発行:ボーンデジタル
著者:大串 肇・北村 崇・木村 剛大・古賀 海人・齋木 弘樹・角田 綾佳・染谷 昌利

発行元HP

https://www.borndigital.co.jp/book/6761.html

補足

「本の表紙を写真に撮って、ブログで公開する」際は出版社に確認する必要があると、この本にも書かれていましたので、今回はボーンデジタルさんに問い合わせて許可をいただきました。使用を快諾いただき、ありがとうございました!