国立新美術館「CLAMP展」思春期の滑走路を並走してくれた作品と対面・再会できる

国立新美術館CLAMP展:冒頭

今はすっかり大人になった私ですが、思春期にめっちゃ栄養を与えてもらったCLAMPさん。
その展覧会が開催されていると聞き(国立新美術館:会期2024年7月3日〜9月23日)行ってきた時の記録と感想になります。

近年、漫画家さんの作品が美術館に展示される機会も増えてきましたが、遅ればせながら私、その類の展示に足を運ぶのはこれが初めて。
しかも会場が国立新美術館って!!スケールも格調も高すぎだぜ…本当に時代が変わったなあと実感しつつ、会場内へ。

と、その前に!
館内に入る前からとっても素敵なお出迎えがあったので、思わず動画に残しました。

CLAMP展:LOVE

展示の構成は「C」「L」「A」「M」「P」

CLAMPさんのお名前から展示ゾーンがそれぞれ大きく5つに分かれています。

  • 「C」COLOR…特徴的なカラー原画が時代・作品順に展示されたゾーン
  • 「L」LOVE…愛を感じさせる描写のあるシーンが見れる原画ゾーン
  • 「A」ADVENTURE…代表的な6作品の生原稿をこれでもかというボリュームで見せるゾーン
  • 「M」MAGIC…映像技術を駆使し、音と光で作品の中にいるような体験ができるゾーン
  • 「P」PHRASE…独特な台詞を、抜粋して展示。入場者自身が空間を作り上げていくような演出も。

あとは、CLAMPさんのこれまでを資料で振り返る「IMAGINATION」
何とこの展覧会のための描き下ろし作品が展示されている「DREAM」
この2つのエリアも含め、7つのエリアで構成されています。

CLAMP展:ADVENTURE

不思議の国のアリスみたいに、本の中に入っていくような演出も。
CLAMPさんの作品はもちろん、展示の装飾がまたセンスが良くて、おしゃれな洋服屋さんのような雰囲気でした。
モノクロの繊細な線画が、淡いベージュの壁や背景に映えて、デザイン性の高い作画であることを再認識させられます。

CLAMP展:東京BABYLON

東京BABYLON!
当時メチャクチャハマってました…
少女向けにダークな時事ネタ・社会問題を真正面から描くような漫画って連載の頃(1990年〜1993年)は珍しく、しかもファッションやライフスタイルもバブルの時代をしっかり描写していて、なんて時代を反映した作品なんだろうと驚きながら読んでました。

最近の展示らしく、写真撮影OKゾーンもしっかりあるので、そちらにて撮影。
(カラー原画は光で褪色してしまうので、基本的にNG。あと映像ゾーンも×)

私はCLAMPさんと言えば、聖伝・東京BABYLON・X(しかも途中まで)あたりを読んでいた世代なのですが
思春期に夢中になって眺めていたページの生原稿が、こうして大人になった今、目の前にあるなんて、稀有な巡り合わせだなあと思います。
ここまで長く現役で続けられる作家さんがそもそも稀有だし、こうしてしっかり原稿を綺麗な状態で保存してくださっていたことが何より有難い。

アナログ原稿の美しさに滅茶苦茶震える

本当にこれはびっくりしたことなのですが
CLAMPさんの原画。印刷物よりも実際の方が何十倍、何百倍と美しかったのです。

特にモノクロ原稿って、印刷時には黒か白かでしか表現されないので、例えば間違えた線を修正液でボッコボコに直しても綺麗な状態で印刷はできるのです。
CLAMPさんの原稿はそういった修正跡がほぼ見受けられず、しかも印刷では表現しきれない繊細さや大胆さが原稿上では生きていました。
(展示には「デジタルデータを印刷」というモノクロページもあったのですが、生原稿と比べるとそれらが失われていたのです…)

今現在、CLAMPさんがデジタル作画化を進められているかどうか、知識不足で分からないのですが
これだけ美しいアナログ原稿を生み出せる技術があるのに、今後アナログ原稿が描かれなくなっていくとしたら、とても残念だなあと。

私はアナログ至上主義という訳ではないのですが、技術がある方の作品がアナログ→デジタルになると、かなり情報の解像度が落ちてしまうんだと実感する良い機会になりました。

もう、目で見る他ない展示だと感じ、生原稿アップの写真は撮りませんでした。

そしてもう、最後の展示やお見送りの言葉で、心底目が潤みました。
いやもう、あんな残酷な運命とか描いていても、結局のところCLAMPさんがそこを最終地点に目指されているんだと思ったら、ああもう(絶句)…

永遠に中二だっていいじゃない

CLAMPさんの作品では、それはもうダイヤの原石みたいな超ド直球、ストレートすぎるセリフやフレーズが魅力的で。

おそらくは、美しいと信じているものしか描かないこと(例えダークな世界観や運命、グロテスクなものを描いていても、一種のフェティシズムだったり、美意識に沿ったものを描いていると感じます)
それを中二的な表現だと、外側から冷笑する人も、この時代ではいるとは分かっているのですが
「だから何じゃい!中二を心に生かし続けてもええじゃろがい!」
と、ある原点回帰できました。

CLAMP展:WORD

とあるコーナーで、ご神託ならぬ、作品中のセリフが書かれたシールを受け取ることができます。
私これかー!!
永遠に中二でもええじゃろがいと書いた後ですが、どんどん純度を上げていくのも一興かなと思ったりしております。

思春期に出会うCLAMP作品って、冨樫先生の漫画と通じる所もあって
「当時、信じている一番大事なものや価値観」が物語としてしっかり、読む人の人生の滑走路を並走してくれるんじゃないかなと思います。

その後、上手く飛べなかったり、墜落したり(!)ハイジャックとか機器トラブルとか、そりゃ思い描いたようにはいかないし、もう飛ぶのなんて無理だと操縦席から降りたくなることも多々あると思うんですが
それでも、ちゃんとあれは大事だったんだっていう記憶が、燃料になって心を補給してくれて、何度も何度も飛び立たせてくれるんじゃないかと思う。

会期もあとわずかですが、この旅路のどこかで、CLAMPさんに出会った方は是非是非。

国立新美術館CLAMP展:冒頭
CLAMP展

【会場】国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)
【会期】2024年7月3日(水)~9月23日(月・祝)(火曜日休館)
【展覧会ホームページ】https://www.clamp-ex.jp